Cコーポレーション・Sコーポレーション・LLC(有限責任会社)の違い
前回は、個人事業と法人の違いを解説しましたが、法人と一口に言ってもCコーポレーション、Sコーポレーション、そしてLLC(有限責任会社)など、様々な形態があります。その形態によって税金面で得られるメリットも変わってきますので、今回はその点について深く掘り下げてみたいと思います。
Cコーポレーションとは
アメリカにあるほとんどの有名企業が採用している形態で、株主がその会社の所有者となり役員を選任します。Cコーポレーションを説明する際に忘れてはならないのが二重課税です。会社から出た利益は法人税、そして株式の配当金は個人の所得税の対象となり、そのことを二重課税といいます。なぜこのような事が起こるかといいますと、Cコーポレーションは、会社と株主を別々の存在とみなすからです。
税金面でのメリット・デメリット
メリット
株主は投資額以上の負債・債務に対しての責任を持たない(有限責任)
会計年度がカレンダーと同じ(1月~12月)でなくてもよい
営業損益・資産損益を将来20年に繰り越して利益と相殺できる
デメリット
会社の利益は法人税として、株主への配当金は所得税として課税される(二重課税)
営業損益・資産損益をその年に計上できない
Sコーポレーションとは
小規模の会社であることが多く、二重課税の対象となりません(法人税を支払わなくてよい)。しかしながら規制も多く、発行できる株式は一種類のみで、株主は最大で100人までとなっており、非居住者外国人や企業の株主は認められておりません。また、S コーポレーションはアメリカ国内の会社でなければならず、金融業、保険会社、など特定の業種は含まれません。
税金面でのメリット・デメリット
メリット
株主は投資額以上の負債・債務に対しての責任を持たない(有限責任)
連邦の法人税を払わなくてよい
事業外の収益を事業の損益と相殺できる
事業から個人、個人から事業への資産の移動の際、税金が発生しない
デメリット
事業の会計年度がカレンダーと同じ(1月~12月)でなければならない
株主に正当な報酬を支払い給与税を発生させなければならない
LLC(有限責任会社)とは
比較的新しいタイプの法人で、様々な事業形態の特徴を併せ持っています。コーポレーションのように株主は借金・債務に対して有限責任しか持たず、個人事業のように二重課税を避けられ、運営の融通も利きます。そして、Sコーポレーションのように株主の数の上限や法人の株主を認めないなどの制限もありません。それだけを聞くと、LLCが会社としてベストの形態ではないか、と思われるかもしれませんが、資本金と配当金の分配比率を変えることが出来るので、個人の出資比率と会社からの配当比率が比例しない場合があります。
税金面でのメリット・デメリット
メリット
メンバーは投資額以上の負債・債務に対しての責任を持たない(有限責任)
連邦の法人税を払わなくてよい
会計年度がカレンダーと同じ(1月~12月)でなくてもよい
デメリット
カリフォルニア州ではLLC手数料を売上げ基準で支払わなければならない
この手数料は、利益ではなく売上げを基準に徴収されるので、薄利多売な外食産業などはこのデメリットの被害者となりやすいと言えます。