居住者と非居住者
海外から移住、就労、留学のためにやって来た人々がアメリカで個人の確定申告をする際、ビザの種類や滞在ステータスによって居住者と非居住者に分けられます。それぞれのステータスによって申告するフォームが変わり、異なるルールが適用されます。間違ったフォームで申告書を提出すると当局から通知が届き、正しいフォームで再提出しなければなりません。
居住・非居住者テスト
ある申告年度においてグリーンカードテストが実質滞在テストのいずれかを満たした場合には、居住者として扱われます。
グリーンカードテスト
グリーンカードテストとは、確定申告年度内で移民法で永住者と認められた日が一日でもあり、そのステータスが無効になったり法的に取り消されていない限り、そのテストを満たしているので、税法上で居住者となります。
実質滞在テスト
次に実質滞在テストとは、確定申告年度内に31日以上アメリカに滞在し、その年度と直前の過去2年を含む3年間で183日間アメリカに滞在していなければなりません。この183日の計算方法は、その年度の全ての滞在日数、前年の滞在日数の1/3、前々年の滞在日数の1/6の合計したものです。そしてこれが183日以上になると実質滞在テストを満たしたことになります。
実際に例を挙げてみます。
2018年終了時点で2018年100日、2017年360日、2016年120日アメリカに滞在したことがあるとします。
この場合、その年は全てで100日、その前年度は360の1/3で120日、その前々年度は120の1/6で20日となり実質滞在テストを満たしていることになります。なので、この方は居住者として申告できます。しかし、全ての人々が滞在日数を実質滞在テストに含められるわけではありません。
実質滞在テストを免れる個人
ビザのステータスによって、純粋な滞在日数を実質滞在テストに含めることの出来ない場合があります。下記が代表的な例になります。
・外国政府に関わる個人としてアメリカに一時的に滞在する要人
・J, Qビザで一時的に滞在する教師または研修生
・F, J, M, Qビザで一時的に滞在する生徒
・スポーツのチャリティーイベントに参加するために一時的に滞在するプロスポーツ選手
しかし、上記のステータスでアメリカに滞在していても、Jビザの教師または研修生は3年目から、そしてFビザの生徒は6年目からと、ある条件を満たすと滞在日数を実質滞在テストに含めることが出来ることもあります。
例えば、2018年8月15日に入国したJビザの教師は、3年目の2020年1月1日からの滞在日数を実質滞在テストに含むことが出来ます。
同様に、2018年8月15日に入国したFビザの学生は、6年目の2022年1月1日からの滞在日数を実質滞在テストに含むことが出来ます。
二重ステータス
年の途中で居住者から非居住者に、または非居住者から居住者にステータスを変更した外国人は二重ステータスとなり、居住者と非居住者であった二つの期間をそれぞれのルールに則って申告することができます。
例えば、実質滞在テストを満たしたとしても、その確定申告年度で183日未満しかアメリカに滞在していなく、外国で実質的に労働、生活をしている場合は、非居住者として扱われます。なので、駐在の方が年の途中183日滞在する前に帰任し、日本で働いている場合などがこのケースに当てはまります。しかし、永住権を持っていたり申請中の人には適用されません。
このように、自分が居住者と非居住者のどちらであるかを認識することは税法上とても重要です。