在庫(Inventory)
在庫とは、小売、卸売り、製造業などにおいて、手許にある売却予定、または製造過程の部品などのことです。その管理は、いつどれ位の商品発注をかけるかを決める上で重要です。
それに加え、その総額を知ることは売上原価を計算する上で大切です。
まずは、棚卸方法を2つ解説します。
棚卸
棚卸とは在庫数量の確認作業で、定期棚卸法(Periodic Inventory)と継続棚卸法(Perpetual Inventory)があります。
定期棚卸法(Periodic Inventory)は、決まった期間に一度だけ棚卸する方法です。仕入をしても在庫金額を変えないので、期中にその時点の在庫を知りたくてももう一度棚卸をする以外に方法はありません。この方法は、ほとんど在庫を持たなくても良い業態の場合、会計上の在庫処理をしなくて良いので人件費の節約にもつながります。
それに対し継続棚卸法(Perpetual Inventory)は、在庫の多い業態に有用で、商品の仕入毎に会計処理しなくてはなりません。仕入のみならず、仕入返品、売上戻品、仕入割引など在庫価格に影響のある取引が行われた際は、その都度アップデートしなければならず、前者に比べ人件費はかかります。しかし、期中の在庫が常に最新なので、コスト管理しやすく、在庫補充のタイミングも取りやすいです。
次に在庫総額の算出方法について3つの代表的な方法を解説します。
①FIFO (First-In First-Out)
FIFO (ファイフォ) は、仕入れた順番が古いものが一番最初に売却される方法で、生鮮食品といった賞味期限のあるもの、洋服など入れ替わりの激しい商品に利用される傾向にあります。
②LIFO(Last-In, First-Out)
LIFO(ライフォ)は、最後に仕入れた在庫から売却していく方法で、石、レンガ、砂など、仕入れたものを山積みにして管理するような場合に使用されます。なぜなら、積み上げられた商品を仕入れ順に下から取り出していくのは仕事量も多くなり、費用対効果が悪いからです。
③加重平均法(Weighted-Average Cost Method)
加重平均法は、“全ての在庫は同時点に購入したものと見なす”方法で、製造業や燃料を扱う会社などが採用しています。これらの業種は、製造過程や保存過程において仕入れ順に関係なく在庫が混じってしまうので、この計算方法が適しています。
【例題】
前述の3つの計算方法を基に、次の例題を考えてみます。
1月1日-2ドルの商品を1000個仕入
1月15日-3ドルの商品を500個仕入
1月20日-4ドルで800個の商品を売却
このデータを基に、売上原価、在庫、売上総利益(売却額-原価)の計算をします。
①FIFOでは、最初に仕入れた分から売却したと考えるので、1月1日仕入分を最初に売却し、その結果下記のようになります。
原価: 2ドル×800個=1600ドル
在庫: 2ドル× (1000個-800個) +3ドル×500=1900ドル
売上総利益: 4ドル×800個-1600ドル=1600ドル
②LIFOでは、最後に仕入れた分から売却したと考えるので、1月15日仕入分を最初に売却し、その結果下記のようになります。
原価: 3ドル×500個+2ドル×300個=2100ドル
在庫: 2ドル× (1000-300)=1400ドル
売上総利益: 4ドル×800個-2100ドル=1100ドル
③Weighted-Averageでは、仕入額を平均して原価を計算する結果、下記のようになります。
原価: (2ドル×1000個+3ドル×500個)/(1000個+500個)×800個=1864ドル
在庫: 2.33ドル×(1500個-800個)=1631ドル
売上総利益: 4ドル×800個-1864ドル=1336ドル
この結果をまとめると、次のようなテーブルになります。
原価($) 在庫($) 売上総利益($)
FIFO 1600 1900 1600
LIFO 2100 1400 1100
Weighted-Average 1864 1631 1336
税金を計算する際は売上総利益に対し税率を掛け合わせます。なので、このケースの場合、LIFOを選択した場合の税金が一番少なくなります。