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2018年02月15日

個人事業と法人の違い

アメリカでは年間50万件以上もの事業が新規開業されると言われていますが、多くは数年のうちに閉鎖・解散されます。その理由の多くは、はっきりとした事業計画や経営方針の欠如が原因のようです。これらの有無は会社の行く末を大きく左右するので、事業開始以前から念入りに考えるべきでしょう。それに加え、どのような事業形態を選択するかはとても重要です。なぜなら、それによって会社の会計年度が決められたり節税効果も期待できるからです。法人の種類にはいろいろありますが、今回は個人事業とC法人とで比較します。

-個人事業(Sole Proprietorships)

最も一般的で簡単に設立できる形態です。一個人によって運営され、資金を自分自身で用意する必要があります。設立コストを低く抑えられ、経営方針を自分自身で決定できる、などの利点からアメリカにあるほとんどの小ビジネスはこの形態に属します。

事業開始の際は個人名をそのまま使用する場合もありますが、事業名(DBA)を登録することで、より大きな信用を得られる場合もあります。これにより、事業名で銀行口座を開設できたり名刺にその事業名を載せたりすることもできます。

しかし、債務に対しては個人財産も含めて補償しなければならないのでリスクの高い側面も存在します。例えば「事業の敷地内でお客様が転倒して訴訟を起こされ、100万ドルの支払い命令が下った」とします。法人の場合は会社を閉鎖すればその債務から開放されますが(有限責任)、個人事業の場合は100万ドル全てを個人負担しなければなりません(無限責任)。

それに加え、個人事業から年間400ドル以上の利益が出た場合、15.3%の自営業者税(Self-Employed Tax)と呼ばれる税金を支払わなければなりません。(会社員の場合、雇用主が半額負担していますが、個人事業主は全て自分で支払わなければなりません。)その内訳は12.4%がSocial Security、残りの2.9%がMedicareとなっています。

下記は個人事業における税金面のメリット、デメリットです。

メリット
・法人税を支払わなくてよい
・事業と個人間の資産移動の際に税金が発生しない
・事業外の収益を事業の損益と相殺できる

デメリット
・債務などに対して投資額以上の責任が発生する(無限責任)
・社会保障税をすべて支払わなければならない
・法人は給料を経費として計上できるが、個人事業はできない
・事業と個人の会計年度が同じ(カレンダーと同じ)でなければならない


-C法人(C-Corporation)

ほとんどの大手・有名企業はこの形態です。株式を売却することによって資本金を集められるので、しっかりとしたビジネスプランと経営手腕があれば比較的資金を集めやすいといってよいでしょう。しかし、株主が法人の所有者と考えられるので、個人事業ほど自由な運営をすることは難しいです。なぜなら、株主の利益を最優先しなければならないことも多いからです。

それに加え、法人と株主が別々に確定申告書を提出しなければなりません。その結果、企業はその所得に対し法人税を課され、株主はその配当金に対し所得税を課され、二重課税されるということになります。

下記は法人における税金面のメリット、デメリットです。

メリット
・債務などに対して投資額以上の責任が発生しない(有限責任)
・個人事業より資本金を集めやすい
・社会保障税の支払いを軽減できる可能性がある

デメリット
・二重課税される
・株主が会社から受け取る配当金は課税対象である
・営業損失や資産損失が出てもその年に他の利益と相殺できない


法人設立をサポートする団体は多数ありますが、全てが税務の専門化というわけではありません。その結果、設立後にどの法人形態が最も自分の状態に適しているかを質問される方もいます。設立後では出来ることに限りがるので、法人設立の際は専門家に相談をし、その目的と特徴をしっかり把握してから開始しましょう。


ご質問などございましたら、 info@iiocpa.com までご連絡下さい。

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