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2017年12月06日

配当(Dividend and Other Distributions)

一般的に投資家が企業に投資をして利益を得る方法には2通りあります。株式売買でその差額から得る利益と、株式を保有して企業から配当を得る方法です。今回は後者の配当に焦点を当てて解説します。

配当は企業のオペレーションで発生した利益(Net Profit)や余剰利益の持ち越し分である内部留保(Retained Earnings)などで支払われます。支払側は受取側に対してForm 1099 DIVを発行しなければならず、受取側は確定申告時に所得として申告しなければなりません。米国外の投資家に配当金が支払われる場合は所得税の源泉徴収が必要となり、この通知はForm 1042-Sによって行われます。Form 1099DIV、1042S、いずれも支払側が作成し、当局に期日までに申告し、受取側に配布する義務があります。


Qualified Dividends (適格配当)

キャピタルゲイン税率と呼ばれる通常の所得税率よりも低いものが適用されます。課税所得に対する所得税率が10-15%の場合は0%、15-39.6%の場合は15%、39.6%を超える場合は20%のキャピタルゲイン税率が適用されます。


保有期間

適格配当とみなすには、配当決議の翌日を基点にて60日前から始まる121日間のうち61日以上株式を保有していなければなりません (保有期間は株式購入の翌日からカウント)。なぜなら、配当のみを目的とした短期株式保有者に対してキャピタルゲイン税率という優遇措置を適用させないためです。これは、株式の売買で1年未満の短期保有には所得税率、1年以上の長期保有にはキャピタルゲイン税率が適用される原理と同じと考えられます。

2017年7月9日に株式購入、2017年7月15日に配当決議、2017年8月12日に株式売却したとします。その場合、株式保有期間が2017年7月10日から2017年8月12日の34日間となり、配当決議59日前の2017年5月17日から始まる121日間のうち61日を越えていないので適格配当ではありません。

それに対し前題と同条件で一か月後の2017年9月12日に株式売却とすると、保有期間が65日となり、適用配当とみなされキャピタルゲイン税率の対象となります。

優先株の場合は、配当決議翌日の90日前から始まる181日間のうち91日保有 期間が定められています。


キャピタルゲイン配当

投資信託 (Mutual Fund) や不動産投資信託 (REIT/Real Estate Investment Trusts) からの配当で、所有期間に関わらずキャピタルゲイン税率が適用されます。実際に手元に入金されずに信託会社がキャピタルゲインを保持することがありますが、その場合も課税されるので確定申告書作成時には気をつけなければなりません。


企業への配当

企業が受け取った配当の一部は控除の対象となります。20%未満の持ち株会社は70%、20%以上80%未満の持ち株会社は80%、80%以上の持ち株会社は100%が控除の対象となります 。

下記からの配当は控除の対象となりません。

1. 不動産投資信託 (REIT)
2. Section 501/521の非営利団体
3. 配当決議翌日の45日前から始まる91日間のうち46日未満保有 (普通株)
4. 配当決議翌日の90日前から始まる181日間のうち91日未満保有 (優先株)
5. 投資信託など

貯蓄貸付組合 (Building and Loan Association)や相互貯蓄銀行 (Mutual Savings Bank)などからの配当は利子とみなされるので控除の対象となりません。

子供の名前で投資や貯蓄をしている場合、子供本人に対してForm 1099 INTやForm 1099 DIVが発行されます。それらの不労所得の総額が1000ドルを超えると子供にも確定申告義務が発生します。両親と一緒に申告することも可能ですが、金額が2000ドルを上回るとその一部が両親の税率を適用されるので、子供の名前での投資が節税につながるとは限りません。


ご質問などございましたら、 info@iiocpa.com までご連絡下さい。

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