会計サイクル
単純に会計といっても、様々な業務があります。この一連の流れを会計サイクルと呼び、「取引の発生」から「財務諸表作成」や「期末の締め」にかけての9つに分けて説明することができます。
会計サイクルを理解することで会社の行っている取引の全体像が見えやすくなるので、経営者や経理に携わる方のみならずビジネスパーソンはこの流れをを押さえておくべきでしょう。自身の家計簿を付けるだけでも今まで見えなかったお金の流れが見えてくるので、まずは身近なところから始めてみてはいかがでしょうか。
ビジネスが小規模な場合、取引の規模が小さく回数も少ないので会計サイクルを全て一人で記録できる場合もあります。しかし、大規模な場合、取引の規模が大きく回数も多いので多くの人員を必要とします。従ってそれぞれが役割を分担することになります。
どちらの形で会計に携わっている場合でも、会計サイクルを理解することで「取引発生からどのように会計上の数字が作られていくか」という全体像が見えるので、会計に対する理解が深まります。
1.取引の特定と分析
取引の特定と分析から始まります。その事業に直接関係ある取引のみ帳簿に記録できます。一般的にオーナー名義のローンはビジネスに直接関係ないとみなされ会社の帳簿に載せることが出来ませんが、会社名義のローンは帳簿に載せなければなりません。
特定後は、勘定科目と金額を確認します。
2.仕訳帳へ記録
仕訳帳とは取引を記録しておくための帳簿です。1つの取引で借方(Debit)と貸方(Credit)を最低1つずつ記録しなければならず、借方と貸方は等しくなければなりません。
現金100ドルでコピー用紙(事務消耗品)を購入した場合、貸方-現金100ドル、借方-事務消耗品100ドルとなり、借方と貸方が等しくなります。
3.元帳へ記録
取引の資料や仕訳帳から得た情報を整理し、各勘定科目ごとの残高を記録するための帳簿です。
たとえば、仕訳帳に記録された勘定科目の「現金」をまとめることによって、その残高を知ることが出来ます。
4.決算整理前試算表
試算表(Trial Balance)は貸方と借方が等しくなっているかを確認するために作られます。元帳に一つ一つ入っている勘定科目を1つの表にまとめます。それによって、全ての勘定科目における貸方、借方の合計が等しいか確認します。
5.修正記入
会計年度終了時、収支の記載漏れがある可能性があります。修正記入によってそのような状態を修正し、財務諸表をより正確なものにすることが可能です。
修正は主に売掛・買掛、前払い金、減価償却などに使われることが多いです。たとえば、取引先の都合で貸し倒れになったが会計処理されていなかったものなどを期末に修正します。
6.修正後試算表
調整後の試算表で、4に5を加えたものです。基本的な用途は修正前試算表と変わりませんが、調整記入によって売掛・買掛などが理論上の数字になっています。
7.財務諸表
各勘定科目の残高が締め日のもので、貸方と借方の合計が等しくなって初めて財務諸表の作成に取り掛かることが出来ます。
財務諸表は損益計算書(Income Statement)、株主資本等変動計算書(Statement of changes in equity)、貸借対照表(Balance Sheet)、キャッシュフロー計算書(Statement of cash flows)、注記表(Notes to Financial Statement)の5つから構成されています。
8.決算仕訳
収支表に記載されるている勘定科目を締めます。この作業で損益計算書に記載されている勘定科目の残高がゼロに戻されます。
決算仕訳でまとめられる勘定科目は、損益計算書に記載される勘定科目のみで、貸借対照表に記載されるものは含まれません。(一般的に勘定科目は損益計算書か貸借対照表どちらかに記載されます。)
9.繰越試算表
繰越試算表を作成することでその会計年度の会計サイクルは終了です。決算仕訳を基に試算表を作ることで、貸方と借方それぞれの合計が等しいかを確認し、決算仕訳が間違っていないかを確認します。
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